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インボイス制度と日本の没落
インボイス制度が来年10月から始まります。事前の準備が進んでいるところもありますが、まだまだ制度自体がよく分からないといった企業も多いと思います。この制度の目的は、軽減税率ができたことから税率の間違いが起きないようにということですが、もう一つは売上1千万以下の免税事業者等の益税をなくすためといわれています。
しかし、この2つの目的を達成するためにほかの方法はないのでしょうか?
インボイス制度に関しては、最近「インボイス制度の中止を求める税理士の会」が発足し衆議院会館で記者会見を開く等活動を開始しました。主張の内容は、インボイス(適格請求書等)を発行しないと取引先が消費税の仕入れ控除ができなくなるので、取引から排除され、免税事業者の個人事業者フリーランス等零細企業にとっての影響が大きく、国民生活や日本経済自体に大きな影響を与えかねないというものです。
また制度導入に伴い、全ての企業に大きな事務作業の負担が継続的に発生してくることも重要な問題です。この社会的コストは数千億円以上に上るかもしれません。
したがって日本商工会議所や他の中小企業団体等から廃止や見直し、凍結、中止等の意見が出されており、税理士会でも経過措置の延長や制度の見直しを提案しています。
このインボイス制度自体はヨーロッパでできたものであり、EU内での国際取引が多く消費税の税率も多様なため、以前から行われていたものです。これを10%と8%の2種類だけの複数税率で導入する必要はあるのでしょうか。また免税事業者の益税に関しては1千万を減額する等方法はほかにもあると思われます。
しかし問題はこれだけではありません。この法律は数年前に成立したものですが、なぜその時に大きな問題にならなかったかが問題です。電子帳簿保存法の電子取引の電子記録制度の導入が今年1月から始まる予定だったのが2年間延長になりました。これも当初の予想が甘かったケースです。
こうした法律があまり議論されることなく成立してしまうと、その後の社会に与える影響は大きなものになります。無駄なことを何年も続ければその社会的国家的損失は多大なものになり、取り返しのつかないものになるかもしれません。
今年の通常国会では政府の出した法案は61件全部成立しました。どんな法律が成立したのでしょうか。分かっている人はほとんどいないのではないでしょうか。法律違反をすると、知らなかったでは済みません。どんな法律が重要なのか。無駄な法律はないのか。そもそも何のためにこのような法律が必要なのか、国民は知っている必要があります。
今年は梅雨が短く、明けるのも早く、6月から猛暑が続いています。コロナ過、戦争、気候変動、円安、インフレ、資源、食糧危機等課題は目白押しです。猛暑で水不足、電力不足は今後の生活に大きな問題となってくるかもしれません。
これらの問題は連動しており、悪循環に陥るとすべてが悪くなりますが、好循環になると逆に全てが良い方向に向かうのではないでしょうか。目先のことだけでなく、未来のビジョンも含め、深く広い視点から考えていくことが重要です。
没落を課題の認識、教訓として、再生への転機とできるかどうかが問われています。
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