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コロナ、戦争、そして食料、経済 ~危機の連鎖と文明の転換~
世界的ベストセラーになった「サピエンス全史」の中でハラリは「これまでの人類の大きな脅威・課題は、飢餓、戦争、感染症だったが、文明の発展によって現代ではこれらは克服されつつある」と述べていた。しかしながらまだ続くコロナパンデミックから、ウクライナ戦争へと、感染症、戦争は終らず、時代は逆戻りしているように見える。
文明、科学の力でこれらの課題が解決しつつあると思ったら、逆に科学の発展、文明の拡大そのものがコロナ、感染症や戦争の原因になっているようだ。地域、森林の開発はウィルスや細菌を人類に身近な物として、感染症パンデミックの可能性を高め、また遺伝子工学の進歩は、生物兵器としてのウィルスを簡単に作れるようにした。今回のウィルスの発生原因ははっきりとは分かっていないが。
また戦争は第2次世界大戦後も、朝鮮、ベトナム、中東、湾岸、アフガン、イラク、シリア等様々な地域で行われてきた。しかしウクライナ戦争は世界中を巻き込んで、第3次世界大戦がすでに始まっているという人もあるように、世界的規模で影響を与えている。そしてこの戦争は単に軍事面だけでなく、サイバー戦争、経済戦争の要素が強くなっており、新しい戦争の形態ともいえるものになっている。
この戦争はまた、世界的な食糧危機や、資源不足、インフレ、経済危機を誘発しつつある。食糧危機そのものは数億人単位で飢餓の線上にいる人々がいたがこれがもっとひどい状態になる恐れが出てきた。更に気候変動により、スペインやフランス等ヨーロッパ諸国及び、アメリカ、中国の干ばつ等が追い打ちをかけ、秋の収穫期以降、世界的に食糧危機が起こると懸念されている。
経済全体においては、これまで世界的に中央銀行による貨幣の増発により景気が保たれていた。しかし石油天然ガス等の資源不足や人手不足によるインフレの発生、それを抑えるための金利の上昇は、景気を抑制し、インフレと不景気の同時進行というスタグフレーションの様相を呈してきており、ハイパーインフレと世界恐慌のリスクも考えられる。
コロナも戦争も収まらないまま、食糧危機や経済危機が進行し、気候変動による災害はますます酷くなってくるという危機の連鎖は、世界中を覆っている。
文明の発展は、人々の欲望を満たし、便利な生活を作ってきたが、今逆に文明によって危機を迎えており、現代は新しい文明への転換の時期かもしれない。
こうした世界の状況の中で、日本は特異な存在かもしれない。失われた30年といわれるように経済は停滞しており、コロナ対策も最も重要な医療体制の改革もできず、東アジアでの戦争の危機に対しても、アメリカ追随と軍事力増強しか考えないのでは、サイバー戦争とか、プロパガンダ、仮想現実の時代に対応できないのではないだろうか。また食糧自給率が30%しかなく、食糧安保への対応がなく、自然災害の多い国なのにその対策も遅れているという状況は、非常に危機的状況にある。
日本がある意味トップランナーにいる、この危機的状況を理解し、課題に向き合い挑戦すれば、一つにまとまって転換の主役になるのかもしれない。
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