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平成という時代
浅野 介敬(良裕)
平成もあとわずかになってきました。元号とは主に東アジアにおける紀年法の一種で、特定の年代に付けられる称号です。紀年法のうち、西暦やイスラム紀元、皇紀などは無限システム(紀元)であるのに、元号は有限です。今では元号はほぼ日本でしか使われていないようですし、国際的には西暦が支配的です。
時間の流れは星の運行に合わせて一定のはずですが、年号による時代の区切り方は我々の意識や行動に思っている以上に影響を与えているのかもしれません。時の為政者は、時空を意識して年号を決めてきました。元号の始まりは中国の皇帝が、時空統帥権の象徴として造ったと言われていますし、西暦もカエサル暦とも言われているようにローマ時代の皇帝たちの力関係が影響しています。
ところで平成元年にはベルリンの壁が崩壊し、共産主義圏の崩壊が始まり、戦後の国際的な基本構造である、冷戦構造が消滅しました。
これはある意味、歴史的に見れば日本の時間体系が世界の時間体糸を緊密に結びついた時期と言えるかもしれません。
この冷戦構造の終結の後、世界は資本主義によるグローバリズムが進展し、またICT、IoT、AI、VR,デジタル化等情報化が進み、気候変動や災害等自然環境も変化し、持続可能な社会への進化が現実の問題として浮上してきています。
こうした世界史的な意味では、平成の時代は新たな時代への過渡期と言えるでしょう。情報科学だけでなく、生命科学や宇宙科学、人類史等でも大きな発見や発明が行われ、人々の生活に大きな影響を与えてきています。デジタル化の進行は、インターネットやAI,電子決済等、目に見える部分だけでなく、人間の無意識的な意識の構造にまで及んでいると思われます。バーチャル的、デジタル的思考は新しい犯罪や,事故等に影響を与えているようです。また生命工学による食生活や健康への影響はまだ殆ど解明されていません。
自然科学の進展に比べて、AI等を使いこなさなければならないはずの、人文科学や社会科学の進化は遅れており、現代における教養・リベラルアーツ(自由のための技能)も確立されていません。
したがって次の時代は、これらの問題を解決し人類がより幸せな方向へ行くのか、それとも自分たちが造った技術によって自滅していくかの選択と実現の時代になるのではないでしょうか。
こうした平成の時代において皇室に対して親しみを感じる人々の割合は大きく伸びています。海外の日本との戦争をしてきた人びとにおいても。これは天皇皇后両陛下をはじめ皇室の方々の大きな努力があったことからでありましょう。
災害に遭った人々への同じ目線にたった寄り添い、戦没地への慰霊の旅、全国への行脚等々。平和と安寧、鎮魂、象徴天皇としてのあり方への深い洞察。
平成の時代とはどのような時代だったのか? 個人や家族、社会や人類・生物、地球や宇宙にとっての意味を、次の時代に何を残し何を創造していくのかを考える時ではないでしょうか。歴史を知るとは、自分自身を知ることでもあります。
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