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食と命、サプリ 文明の転換(3)
コレステロールの害を防ぎ健康を守るための紅麴のサプリメントが、逆に健康被害をもたらした。サプリは健康補助食品と言われ、通常の食品では不足するビタミンやミネラル等を補ったり、健康をより増進するために飲まれる。本来、栄養素は食品から摂ればよいはずだが、食生活や食物の変化によりバランスよく摂れなくなってきている。
食生活では洋風化等により、エネルギーやたんぱく質の過剰摂取と、ビタミンミネラル等の不足が起こり、この解消のためにサプリを摂取する。また農産物の生産では、作物生産の効率化のために、農薬や化学肥料を使うため、土壌が劣化し、数十年前と比べると、農作物の栄養素が大きく減少している。
また畜産や魚の養殖等によって、肉や魚の栄養素、パワーも低下している。そして化学肥料や添加物等のため作物本来の旨味が無くなり、味覚障害も起きている。さらに遺伝子組み換え食品や培養肉の増加は、人体にどのような影響を与えるかはまだ分かっていない。
日本で認められている食品添加物は、千種類以上あり他の先進国が百前後であることと比べると圧倒的に多く、遺伝子組み換えに対する規制も甘く、人体実験場のような様相を呈してきている。医薬品もだがこうした化学製品等は、個々の薬品等の副作用は調べられていても、多種類飲んだ場合の複合的な影響までは分かっておらず、原因不明の病気、症状の原因になっているのかもしれない。
そして食品によっては、「止められない、止まらない」という中毒症状を起こすものもある。体は欲していないのに、味覚だけが、或いは頭の部分的な疲れが要求することによって食品を過剰摂取し体調を狂わすこともある。砂糖はその典型例のようだが。
本来人間には、その時に本当に必要な食物が分かり、害するものは食べなかったり、吐き出したり、下痢したりするものだが、嗅覚、味覚等が狂ってくるとそれができなくなってくる。そして食べ物の質の低下と五感・感覚の劣化の悪循環に陥ってくる。
「食は命」と言われる。食べたものが血や肉になり、食・他の生物の命を頂くことによって人は生きている。また「地産地消」「身土不二」と言われるように、われわれは住んでいる母なる大地の子であり、その自然と一体になっている。決まった時間や、頭で食べるのではなく、体が欲するものを必要な時に食べ、自然環境や生命との関わり、第一次産業・農林漁業の在り方を、もう一度根本的に考え直すことが必要ではないだろうか。
食の「質」について考えてきたが、「量」の問題もある。こちらの方が今の国際情勢では喫緊の課題かもしれない。それは食料自給率が37%と世界最低水準であることであり、さらに肥料や飼料の輸入も考慮すると、自給率はこの数分の1にまで低下する。核戦争が起こり物流が止まると、日本人の大半が餓死するという研究もある。
気候変動が厳しさを増し、農業人口の高齢化が進み、少子高齢化や経済の低迷が続いている今、これらの課題を抜本的に解決する対策を、すぐにでも始めることが必要ではないだろうか。農地に転換するにも時間がかかるが、生活様式を変え、産業構造も転換していくような、文明の転換ともいえるような変化が求められているかもしれない。
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