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食糧危機と危機管理
日本は危機管理が遅れていると言われるが、中でも重要な一つに食糧危機の危機管理がある。食が人間を造ると言われたり、争いや戦争の原因にもなるほど重要な事項であり現在は、(ウクライナ)戦争や気候変動に伴って、食糧危機は今後より深刻なものになっていくことが予想される。
今年の気候変動は、地球温暖化から地球灼熱化になったと言われるように、急速に悪化している。そして熱波や土壌の乾燥とともに洪水・水害の発生は、当然ながら食物生産を低下させ、飢餓を拡大させている。今でも8億人の人々が飢餓で苦しんでおり、日本でも600万~700万の人が飢餓状態だと言われている。
食糧危機の問題は、1つは量的な食糧不足の問題であり、2つ目はどのようなものを食べるのかという量的な問題であり、3つ目は情報公開と意思決定、誰が食の主権者かという問題になる。
1つ目の問題として、日本の食料自給率がカロリーベースで38%しかないことが上げられる。その他は他国から輸入しているため、世界的な食糧不足で食物価格が高騰したり、輸入できなくなったり、また戦争等で輸送が困難になったりするリスクがあり、これに対してどのような危機管理対策を打ってあるかが問われる。
この自給率は自国産の不作も考えられ、100%あるのが普通だが少なくとも70%位欲しいが、以前から問題にされていても一向に改善されない。
2つ目は、何を食べるかという問題である。人口の増加に伴い世界的な食糧不足が懸念されており、2020年の世界経済フォーラムでは、あらゆる面でグレートリセットが必要だとされ、食の面でも環境負荷が大きい肉食を止め、AIが制御する農業のデジタル化を進め、人口肉や遺伝子操作による化学肥料で生産性を上げたりすることが提起された。
農民がいなくてもAIがデジタル農業を営み、土がなくても野菜は育ち、鶏や豚や魚や乳製品は遺伝子操作とバイオ技術で作り出し、必要な栄養素は全て添加することができる。
タネ細胞を日本の和牛からとった培養肉、他の生物の遺伝子を外から入れて変化させる「遺伝子組み換え技術」から、狙った遺伝子を破壊する酵素を導入することによって遺伝子を直接操作する「ゲノム編集技術」へのシフト。京都市宮津市のふるさと納税にゲノム編集の「22世紀ふぐ」が登場したり、茨城県と岡山県でゲノム編集小麦の作付けが始まったり。培養魚や培養母乳、ワクチンレタス等々。
他方こうした流れに反し、旧来からの農法をヒントに農薬と化学肥料を使わないで、簡単に雑草等も排除する有機栽培等の動きも加速している。
3つ目の問題、情報公開と意思決定に関しては、食は人の健康、命にかかわる重要な問題にもかかわらず、食の安全性や科学的情報等に関して、情報が明らかにされないまま進んで行くことが多い点にある。新しいデジタル技術等は特許で縛られ自由に使えず、一部の企業だけが大きな利益を生む構造になっている。
食は体を作り、心も育む。消費者はもっと自分の食に注意を向け、信頼できる情報を入手し、健康と命を、生物を、土壌、水、海洋、空気を大切にするべきではないだろうか。
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