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不況=変革期への対策と原点への回帰 2009年2月
浅 野 良 裕
金融危機から始まった世界不況は、日本では輸出関連、生産財関連から、消費財部門へとその影響を広めています。不況対策として企業では、出ずるを制する=コスト削減、キャッシュフロー経営=資金繰り対策、バランスシートでは資産の圧縮と不要資産の資金化、そしてあらゆる可能性を使っての売上の向上策等が考えられています。そして不況期を変革期としてとらえるなら、どのように自社の商品や顧客ニーズ、業界自体が変わっていくかを原点に戻って、再確認していく必要があります。コスト削減では、徹底的な経費の見直しから始まって、固定費の主要部分である人件費の領域に入っていかざるを得ない状況に多くの企業ではなってきています。派遣社員の契約解除、残業規制、一時帰休、補助金申請等から始まって、ワークシェアリングや給与カット、正社員の削減まで考えないといけないかもしれません。そうすると本当に必要な人材=人財とは何なのかとか、労働と付加価値との関係とか、給与水準・給与とは何かの原点から考えていかないといけないかもしれません。今回のような異常な状況下では、通常の考え方を変える必要があります。企業はいくら損益が黒字でも、資金が行き詰れば倒産です。したがって資金繰りは非常に重要で、2~3か月先は勿論、1年あるいはその先まで考えていく必要があります。この場合バランスシートの財務体質の見直し、本当に必要な資産かどうか、不要不急資産の処分等、数年先、原点に戻った財務・資金戦略が必要です。そしてこのバランスシート戦略は損益、資金の動きとも密接に関係しているので、これらの総合的な計画、シミュレーションが大切です。あらゆる可能性を使った売上の向上策では、それこそ原点に戻ってお客様の顕在的、潜在的ニーズの把握、創造、コミュニケーションが重要です。communicateの原義は他人と共有するという意味ですが、まさにこれが大切です。そして損益分岐点を通常の売り上げベースで捉えるのではなく、限界利益=付加価値、固定費ベースで考えていくことが大切です。つまり操業度が上がらない状態では、いかに固定費を圧縮して回収していくかが、企業の損失を最小限に抑えるために重要だからですいずれにしてもこれらの当面の対策を実施していく上でも、コストとか資産、資金、財務、費用・収益、損益、人事等の本質・原点から考えていくことが必要ですが、自社の商品とか、お客様のニーズ、社会的存在意義を考える場合には、経済や社会自体の本質=原点にまで深める必要があります。個々の商品、企業や経済、お金、政治とはそもそも何のためにあるのか?人々が幸せに、豊かに生きていくために人間が創造したもののはずですが、その原点を見ていく必要があります。今、江戸時代や縄文文化が見直され、近代経済学の創始者アダム・スミスが再評価されているのもそのためではないでしょうか。それは人間とは何か?人間の幸せ、可能性、生まれてきた目的を見直していくことかもしれません。
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