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顧客満足と人材育成 ~問題の捉え方と解決の方法~ 2009年6月
浅 野 良 裕
顧客満足の4つのレベルの話から、この大不況=大変革期の後に顧客ニーズ自体が飛躍的に進化するというお話をしてきました。そして進化した顧客ニーズを満足させるためには、それを提供する企業の人の能力の飛躍的な進化が必要です。ではそのための人材育成はどのようにすればよいのでしょうか?大量生産・消費型の工業社会では、標準的で同じような商品・サービスを提供するためにピラミッド型の組織と、標準的・画一的な人材の教育・育成システムが必要であり、また学校教育も含めこのシステムが優秀だったため日本は世界のトップレベルの経済発展を遂げることができました。そして改善やTQC等全員参加型の運動はあったものの、基本は設計やマニュアル、システムの改善でありそれは一部の人たちの力で可能であり、商品の品質レベルも限られたものでした。しかし、これからの時代は商品の品質も、例えば車のように運転性能やデザイン等の部分的な品質だけでなく、健康や環境対応等人間の身体感覚や社会・自然との調和等、飛躍的に次元が高いものになるのと同時に、個人個人の多様なニーズにも対応しないといけないという非常に高度なものになってきます。狭い範囲で基本的には決められたことをやっていればよい世界から、広く深い知識や技能が必要とされる世界へ。そして答えが与えられておりそれを覚え実行すればよい世界から、答えを自分で見つける、というよりも問題自体を自分で発見し、未知の答えを導き出していかねばならない世界への転換です。多様な人々のニーズにその場で答えることができるためには、常にその瞬間瞬間にお客様よりも広く深いレベルから、問題を発見し、組み立て、その時の的確な答えを選んでいかなければなりません。本質を見る深い洞察と直観、過去や未来、経験や仮説ではなく、今この瞬間に相手の心を想像し、それに対する答えを創造していく必要があります。普通、問題とは理想と現実とのギャップ、目的と現実とのギャップと言われます。そしてこのギャップを解消していく過程が成長であり進化であると言われ、このためにPDCAサイクルを実施する等の方法で問題を解決していきます。この場合まず前提として問題を発見するためには、理想としての形を事前に知っている必要があり、このためにいろいろな知識や方法等の勉強が必要です。こういった知識等がないと、仕事はただ言われたことだけをする、仕事を覚えて実行するだけで大きな進化は望めません。これがレベル1とレベル2の仕事の水準の差ですが、これからはこのレベル2の段階だけでは不十分です。なぜならお客様毎に、また同じお客様でもその時々にニーズ・満足は変化していき、その瞬間毎にその時点での問題を発見し、回答していかなければならないからです。このような能力を育成していくためには、答えを最初から与えるのではなく、問題を与えて考えさせる訓練、そして問題自体を発見させる訓練ができるような仕事の仕組みを作っていく必要があります。人材育成・教育とは外から教え育てるのではなく、Education・その人が本来持っている内なる可能性を引き出すものだという発想の転換が必要です。
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