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ワーク・ライフ・バランス ~生命活動としての生活、生産と消費~ 2009年9月
浅 野 良 裕
ワーク・ライフ・バランスということが言われています。これは仕事と生活の時間配分や重要度のバランスを考えようということですが、これまではどちらかというと仕事重視で動いてきた在り方から、生活をもっと重視しようといった視点から言われていることが多いように思います。民主党の「生活が第一」というキャッチもこの流れかもしれません。 しかし、失業すると生活基盤そのものが危うくなるということからも分かるように、仕事と生活は密接に関係しており、単に両者のバランスをとれば良いというものでもなく、社会、経済の動きや、今では自然との関係までを含めた、より総合的で高いレベルで仕事と生活を統合する視点から考えていく必要があります。 そもそもライフ・Lifeとは生命のことであり、これが生活という意味を持ってきましたが、生活の本来の意味は生命の活動のことです。 この生命活動という視点から生活を捉えなおすと、仕事も生活の一部であり、また呼吸や食物連鎖・生物も含めた地球環境も生活の一部ということになります。 仕事とは、生活=生命活動を維持するのに必要な物やサービスを、他者・社会に提供・生産する社会的活動であり、狭い意味での生活は、仕事によって生産された物やサービスを消費したりそれ以外の趣味などに使う個人的な活動と言えましょう。 仕事と生活とを、社会的活動と個人的活動、また生産活動と消費活動と捉えることにより、両者を個人の中で生命の動き・輝きとして統合していく第1の視点を得ることができます。 この視点は、人間を社会的存在として捉え、社会全体と個人とのバランス、生産と消費のバランスを取るとともに、仕事を個人の生活の一部として重視し、個人生活の中に社会貢献や仕事のノウハウを生活に活かす等、また消費者の視点をより生産=仕事に取り入れたり、生産活動を意識した消費を行う等の意識と行動の拡大を促します。 これらの視点が世間の常識になれば、少し前に問題になった商品の偽装問題や、コンプライアンス違反等の問題を根本的に解決することが可能になるとともに、商品・サービスの品質も飛躍的に高まり、人間の能力や生活の質も大いに向上することでしょう。 そして、生命活動として生活・仕事を考える時、当然のことですが自然や環境との関係が視野に入ってきます。生産活動は自然を材料として消費し、人間の意図するように作り直すという意味では、それ自身自然の消費活動であり、それを消費する消費生活は衣食住を通じて人間自体を再生産するという意味では、人間自体の生産活動になります。 この視点からは、生産=消費であり、消費=生産であり、また人間と自然を対立・支配関係にあるのではなく、自然をも人間自体の一部として、人間を自然の一部として統合的に捉える意識や活動が導き出されます。 そして仕事や生活を生命活動として捉えると、その生命活動そのものを豊かにすること、輝かしいもの、喜びとすることが重要になってきます。そのような意識状態になった時求められる商品やサービスの品質レベルを目標にすることがこれからの商品開発には必要ではないでしょうか?
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