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監査とは何か?監査はなぜ必要か? ~中小企業における監査~ 2009年10月
浅 野 良 裕
最近、企業や地方公共団体、公益法人等でも監査が話題になります。業務が適正に行われているかどうか?ムダはないか?会計報告は正しいか?等々。逆にいえば、これらに問題があるからこそ、監査が話題になってきていると言えましょう。 企業ではいろいろな不祥事や、不正経理が発覚し、企業のガバナンス、企業統治の在り方が問題となり、その改革の一環として、監査役監査や内部統制、内部監査、会計監査人等の制度が、3年前の会社法改正以来強化されてきました。また地方公共団体や独立行政法人、公益法人でもムダや不適切な処理の防止のため、監査制度が導入されたり強化されてきています。 監査は、業務が適正に行われているかどうかを、他の人によってチェック・検査することであると言われています。 この意味では管理と似ていますが、管理は同じ部門の上司・管理者や経営者が行うため、業務の基本方針や計画に適合しているかどうかを調べますが、監査の場合はより客観的で独立した立場からするため、より幅広い視点から適正性・合理性を見ていくことが要請されます。 監査には大きく分けて、業務監査と会計監査の2つがあります。 会計監査は、会計のルールに従って会計処理や財務諸表が適正に表示されているかどうかを検証しますが、これは制度会計のルールに従っているかの判断が必要なので、通常は公認会計士や監査法人等の会計の専門家が行います。 この監査の対象になるのは貸借対照表や損益計算書等の財務諸表・財務会計と呼ばれる部分であり、会社全体の財政状態や経営成績を表しており、この数字が間違っていると健康診断の数値が間違っているのと同じで、会社の財務状況の判断を間違うことにもなり危険です。 これに対して業務監査の目的は、コンプライアンス・法令遵守としてルールに従っているかどうかの判断もありますが、基本的には業務の有効性や効率性、そしてリスクへの対応といった経営目的を達成するためのより大きなものになります。 企業自体の経営目的を達成し、変化していく経営環境に適応するために、方針・ルールや組織自体を評価の対象にしなければなりません。したがって業務監査の対象は、経営者の意思決定プロセスや内部統制、業務執行プロセスと多岐にわたります。取締役会での意思決定のプロセスやその内容、そして決められた方針や計画を実行していく内部統制の仕組み、実際の業務の運用状況等ですが、これらを監査するための能力や技能、知識は高度なものを要求されます。 少し前までは、監査役は閑散役とも言われ、仕事もそんなになく期待も責任も少ない存在でしたが、近年の会社法の改正により、その責任や権限は飛躍的に重いものになってきました。 そもそも監査は業務が適切に行われることが目的なので、実際に仕事を行っている人が適切適格に行っていれば必要ないとも言えます。しかし今日のように劇的に経営・社会・自然環境が変化する時代においては、個人だけでの視野、判断では限界があるため、外部からの監査、評価や助言があったほうが、より適切な業務執行ができる可能性が増えます。 中小企業においても、このような目的での監査は必要と考えられ、外部から独立した立場で会計事務所として、広く深い視野からこのようなレベルの業務にまで到達したいと思います。
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