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「新」と「本質」、「評価」 2009年12月
浅 野 良 裕
今年の世相を表す漢字に「新」が選ばれました。オバマ新政権の誕生。民主党政権の誕生。新型インフルエンザ。事業仕分けの開始等、新しい事象が起きてきておりこれが「新」が選ばれた理由なのでありましょう。昨年は「変」でしたが、変化から始まって新しいものが生まれ始めているのかもしれません。しかしオバマ政権や鳩山民主党政権が苦労しているように、新しい試みはまだ殆ど成果を出すまでにはいたっていません。
また環境問題ではCOP15(気候変動枠組み条約)が開催されましたが、こちらも本当に実効性のある契約にまではいたっていません。来年名古屋で開かれるCOP10(生物多様性条約)ではどうなるのでしょうか?
昨年のリーマンショック以来の不況は諸外国では株価等は持ち直してきているものの、実体経済はまだまだ政府の補助等で持ち直している部分が大きく、2番底も予想され中小零細企業は特に厳しい状況にあります。他方ではゴールドマンサックスが四半期年換算で1兆円以上の利益を上げる等一部の金融機関は空前の利益を上げており、リーマンショックを引き起こした金融の実態も変わっていないようです。
他方中国を中心とした新興国市場は経済もかなり回復し、新たなバブルを警戒されているような現状もあります。しかしこの回復もまだまだ金融・財政政策によるところが大きく、世界経済全体では不況=デフレの中ですが、逆に金やレアメタル等の資源価格が高騰してきているようにインフレ的状況もあります。そして世界経済の中心であるアメリカの実体経済や金融システムの問題、国際収支や財政の大きな赤字は再度の世界的な金融・経済危機を引き起こす可能性を孕んでいます。
こうした混沌とした状況の中で、本当の意味での「新」とは何でしょうか?例えば新政権になって注目、評価されているものに「事業仕分け」という方法があります。これは今までの予算・業務を見直すとともに、予算の形成過程をオープンにするという意味で新しい試みかもしれません。業務や予算の見直し自体は、民間企業では当たり前のことかもしれませんが、それを国家的規模ですることには意味があると思います。
問題はそれを単に形式的にだけではなく、どこまで深く本質にまで切り込めるかということと、他とのバランスをとるための評価基準をどうするかということです。その事業が何のために必要か?目的は?そしてその必要性を満たすための方法に無駄はないか?代替できるものや方法はないか?選択や止めるとしたらその基準は何か?等々。
企業でもトヨタが部品の3割カットを要求し始めたように、今ほとんどの企業が原価の削減を要請されています。個々の事業だけでなく、業務の一つ一つ、個々の部品や消費用品が本当に必要かどうかを、常にその本質、目的、原点に還りながら行っていく必要があります。
自分が行っていたり、管理しているすべての作業を一つ一つ見直していくわけですが、これらは階層構造になっていて、狭い範囲では必要なことも、より大きな視点からは全く不要なこともあります。個々人の個々の仕事から職場、部門、企業、業界、国家、世界へと視野を広げるとともに、個人個人の生活での必要性を本質的なレベルから再検討することにより、無駄が省け、必要な部分が残るとともに、新しく必要とされるものも現れるのではないでしょうか。
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