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新成長戦略とパラダイム・シフト①~輝きのある日本とは?~ 2010年2月
浅 野 良 裕
昨年末、政府は新成長戦略の基本方針を決定しました。まだ基本方針の段階でこれから6月くらいまでに具体的な実行計画(工程表)を作るということですが、今後の政府の政策、日本の経済・社会に大きな影響を与えるでしょうから検討していきたいと思います。この中では今後の重点分野として①環境・エネルギー分野、②健康(医療、介護)の分野、③観光・地域活性化の3つの分野が上げられ、これに④アジアへの展開を加えて4つの分野での経済需要の創造をうたっています。またこれらを実現するための基盤として、⑤科学技術の振興と⑥雇用・人材の育成が上げられ、この合計6つの分野で成長戦略を提起しています。そして2020年までにこの環境、健康、観光の3Kの分野で100兆円の新たな需要を創造し雇用を生み出し、国民生活の向上を計り、現在500兆円を切ってしまったGDPを10年後には650兆円にまですると言っています。初めに①の環境・エネルギー分野は「グリーン・イノベーションによる環境・エネルギー大国戦略」として、日本の世界最高の?環境技術を活かし、石油に代わる再生可能エネルギー(太陽光、風力、水力、バイオマス、地熱等)の拡大支援策や、蓄電池や次世代自動車、火力発電所の改革、情報通信システムの革新や、個々の要素技術を超えた新たな制度設計や新たな規制・規制緩和による総合的な政策パッケージにより、低炭素社会の推進と環境技術・製品の急速な普及を計るとしています。またエコ住宅の普及や老朽建物の建替え、交通網やエネルギー対策等により「緑の都市」化や地方都市・地域の活性化、生活の質の向上を目指し、2020年までに50兆円の市場と140万人の雇用の創出、CO2の13億トン削減を目標にしています。次に②健康分野では「ライフ・イノベーションによる健康大国戦略」として、医療・介護・健康関連産業の成長産業化を図り、革新的な医薬品、医療介護技術の研究開発推進、バリアフリー住宅の供給促進や高齢者の安心なくらしの実現、そしてこれらの産業のアジア等海外市場への展開促進を掲げています。この①②の環境、健康は日本の技術力等の強みを活かす成長分野であり、次の③アジアへの展開、④観光・地域活性化戦略は新しいフロンティアの開拓分野に当たります。アジア戦略は、「架け橋国家」日本として、日本のこれまでの経験や技術を今後のアジアの成長のために活かしアジアの成長の架け橋となり、アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の構築や「安全・安心」の環境、健康関連の製品や技術の輸出、基準・企画の国際標準化を提案することにより、アジアでのリーダーシップを発揮し共同して成長することを目標にしています。また④観光立国・地域活性化戦略は、少子高齢化時代の地域活性化の切り札として「観光」日本の自然や文化遺産、多様な地域性等の観光資源を活かし、世界から2500万人を呼び寄せるとともに、国内旅行も促進し、また食料や木材の自給率を50%以上に上げ農林水産分野を成長産業化するということです。これらの成長を支えるプラットフォームとして、⑤「科学・技術立国戦略」⑥「雇用・人材戦略」があり、これら6つの戦略により「人間のための経済社会」「幸福度」を実現するとしており、盛りだくさんな内容ですが、はたしてこれで実現するのでしょうか?
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