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iPS細胞と人類の未来~4つの遺伝子と意識の進化~ 2012年11月
浅 野 良 裕
先月は、人の細胞の成長と対比して、個人の心、経営組織、経済の発展と課題について観てきました。今月はiPS細胞の発明が、これらの問題にどのようなヒントを与えてくれるかを見ていきます。細胞は、筋肉や神経、内臓等に分裂、分化していきます。どの細胞も人の3万個位の遺伝子のすべてを持っていて、特定の細胞になるために必要のない遺伝子は、読まれないようにブロックされているそうです。そしてこのブロックを消せばすべての遺伝子が発現し万能細胞になるわけです。このブロックを外すために4つの遺伝子を加えることにより、iPS細胞はできました。心も同じように、年を重ね経験を積めば膨大な情報を持っているはずですが、いつか同じような思考パターン、固定観念に捕らわれ、別の視点から見たり、創造的な飛躍をすることができなくなってきます。肉体細胞の場合は環境変化さえなければ、そんなに大きな変化は必要ないですが、心の場合は環境変化が激しいので、それに合わせた大きな変化が必要になってきます。細胞の4つの遺伝子のように、心に万能の能力を発揮させるものは何でしょうか?細胞のブロックのような固定観念を外す要因です。それは1つにはプライドを捨てることです。過去の成功要因、自分の大切に依拠していたものを捨てることは困難かもしれません。プライドは他人との関係で自分を守る防波堤でもあります。したがって他者との関係をオープンなものにしなければなりません。100%完全な人間はいないので、誰でも心に欠損を抱えています。自分を守るためのプライドが逆に自分の成長・進化を阻んでいます。プライドの底には恐れがあるかもしれません。恐れをなくするには信頼、安心が必要です。したがって2つ目の要素は自分や他人だけでなく、宇宙全体に対する信頼、感謝です。誕生への感謝。生かされているという想い。自然や運命への信頼。根本的な意識のレベルでこれらがないと、自分自身や他者、宇宙全体に対する信頼は生れず、固定観念でブロックしてしまうことになります。しかしプライドを捨て、信頼するだけでは、この世界は生れません。生成のロゴス(法則)、本質が必要です。したがって3つ目の要素は、目に見えない本質を見、法則を生きることです。すでにできている物や組織の存在意義、目的、生成過程を意識化する必要があります。企業でも経営理念の重要性が言われているのは、この存在意義、生成の根拠だからでしょう。iPS細胞で4つ目は発がん遺伝子だそうです。心で言えばマイナス要因、失敗、問題かもしれません。今多くの問題が噴出していますが、それをプラスに転じ、課題解決に向かえば未来は明るいものになるでしょう。個人は肉体で言えば1つの細胞なので、この集合である組織や国家、世界全体は、肉体は細胞が変われば変わるように、世界も変わっていくことでしょう。細胞同士がコミュニケーションを相互に取っているように、個人間でも多次元での意識のコミュニケーションはあるはずだからです。
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