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経理と財務、そして会計~経営と会計、経済~ 2012年9月
浅 野 良 裕
ある程度以上の規模の企業では、財務部とか経理部があります。しかし会計部という会社は聞いたことがありません。せいぜい会計課とか会計係程度かもしれません。これはどうしてでしょうか?企業の組織は通常その機能によって、営業部、製造部、開発部、人事部等に分かれています。したがって財務や経理の機能、会計をどのように考えるかが問題になってきます。企業の財務と言った時、財務諸表とか財務体質、また資金調達や運用、資金繰り等がイメージされます。財務体質の改善、資金繰りの方法等、お金の動きに係わり、このお金の動きを実際に行い管理することは、お金の動きが滞ると倒産に至ることからも、企業の重要な機能であることは、ある意味自明のことかもしれません。したがって、どんな企業も資金繰りの管理は行っています。しかし財務体質の改善とか財務戦略、財務諸表の活用とかになると、必ずしも意識的に行っている企業は多くはないかもしれません。次に企業の経理機能を見ていきましょう。中国語で社長のことを総経理と呼ぶように、経理とは経営管理の機能を言います。この管理の道具として金銭的評価が多く使われるため、経理と会計を同じような意味で使われることも多いのですが。「経」はもともと、織物のたて糸を意味し、すじ道とか、すじ道をつけることから、はかり治めること、管理すること、経営・経済を意味するようになっていったようです。経営や経済は本来、すじ道、道理に従って行うものかもしれませんね。そして簿記・会計はこのような経営・管理の道具として発生してきたことは、前にもお話してきましたが、経営管理目的で会計を使いこなしている企業も多くはないかもしれません。財務会計と言われるように、会計は財務管理目的で発生し、また経理面では、主として管理会計として発展してきました。そしてこれらの機能はまた、お金の種々の機能とも対応します。お金には物と物を交換し、流通させる流通手段としての機能があります。この流通手段としての機能は同時に、他の商品を購買し、支配する力であり、他者に対するお金の力そのものです。お金にこの力があるからこそ、お金の流れが滞るとき、倒産という事態になります。この流通手段、お金の支配力が企業の財務機能に対応します。お金にはまた、価値の基準としての機能があります。直接お金と交換しなくても、物の価値を測ったり、資産評価や原価管理等、価値の基準・尺度としての機能があります。この機能が経営管理・経理としての機能に対応します。しかし注意しないといけないのは、企業の生み出す付加価値=社会的価値は、基幹業務である商品の生産や営業活動から生まれるわけで、財務や経理、お金はただ単にそれらを媒介したり、実体の影のように評価したりするだけであることです。これは社会、経済にとっても同じで、製造業や流通業、サービス業や金融業等に展開していきますが、財務や経理、お金は脇役である必要がありますね。
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