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AI・科学技術と縄文文化
浅 野 介敬(良裕)
2016年3月、AI・アルファ碁が囲碁の世界チャンピオンを破ってからまだ3年も経っていません。しかし現在では多くのプロ棋士達がAIを使って囲碁を研究し、これまでになかったAI定石も多用されています。棋戦での解説・情勢分析に使われ、局後の検討でも使用され、完全に市民権を得るまでになりました。
アルファ碁はその後も進化し、過去のビッグデータなしで自己学習だけで進化するようになり、更に囲碁の専用ソフトでなく将棋や他のゲームもこなす汎用型のアルファゼロも生まれ、この汎用AIは専用AIよりも強くなってきているようです。
ゲームの世界と分かっていれば、AIの能力が人間より上でもそれを活用して人間は楽しむことができますが、AIは現実の生活の中へもどんどん入り込んできています。株式投資や借入の審査、買い物や食事・サービスの提案、音楽や俳句の作成、翻訳、ロボットの普及。知らない間に影響を受けているかもしれません。
最近では完全無人のホテルも現れました。チェックイン等は顔認証で、サービスも音声認識により対応し、人間によるサービスが不要になっています。またAIは自動運転や医療介護、電化製品、農業、各種サービスや軍事等多くの分野で急速に予想を超えるスピードで進んでいます。
そしてまた遺伝子操作による人間の誕生や、再生医療による臓器の形成は、神の領域に達したとも言われています。人間の概念そのものを変えてしまうかもしれません。
こうした科学技術の発展は予期せぬ結果や、新たな犯罪等を引き起こすことがあるので「倫理」の重要性も叫ばれています。
1970年の大阪万博のテーマは「人類の進歩と調和」であり、当時の科学技術の先端を行っていましたが、大半の施設は撤去され、現在も機能しているものは、太陽の塔だけのようです。太陽の塔は岡本太郎が縄文の精神・文化から学び、それを現代に活かして造ったものだといわれています。
人類の進歩と調和は当時の高度成長を背景に、科学技術への無限の信頼を示したものでしたが、岡本太郎は当時から科学技術による成長はいずれ行き詰まる、そのとき戻るべき原点として縄文文化があると考えていたようです。縄文土器や土偶の燃えるような生命の輝き、太陽の塔の内部にもありますが数十億年の生命の歴史を受け継いだ縄文を今に蘇らせることが必要だと思っていたようです。
2018年3月19日太陽の塔の再生、一般公開が始まり、夏には東京での縄文展が大きな評判を生み、秋にはそれがパリで開催され、世界的にも認知評価されつつあります。
西欧を中心に生まれてきた科学技術は、人間が自然を改良し、コントロール可能であることを前提にして作られてきました。これに対して縄文は、人間も自然の一部であり、自然の恩恵に感謝し、それを感じ一体となって生きていくことの喜びを重視しているように思います。
和魂洋才といいますが、科学技術の内容に縄文の魂を入れ、科学技術そのものを自然と統合・進化させていくことが、今必要とされているのかもしれません。
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