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ワールドカップと企業経営 2010年6月
浅 野 良 裕
今回のサッカーのワールドカップでは、日本は事前の大方の予想を超えた活躍をしてきたと思います。このような活躍ができたのは直前での戦術や先発メンバーの大胆な変更、このような変更を可能にしたこれまでの個人及びチームとしての経験の蓄積、そしてカメルーン戦の勝利とそれ以降の急激な進化等いろいろ考えられます。このワールドカップでの教訓は企業経営でも活かせることだと思います。第1に目標設定の重要性です。かなり高いと思われるベスト4を目標にしてきました。つまり優勝を狙えるような世界のトッププラスであり、結果的にはベスト16に終わりましたが、これは建前ではベスト4狙いと言いながらそれを本気では考えていなかった選手が多かったからではないでしょうか。本気で考えていたならば達成感よりも、課題がいっぱい見えてきてまだまだそんなには喜べないはずです。実際本田のように活躍した選手ほど、更なる成長に向けての発言が多く最初から目標レベルの違いを感じます。世界のトップレベルを目指すのか、ワールドカップ出場を目指すのか、Jリーグでプロを目指すのか、趣味でいいと思うのかでその結果も、学ぶものも、達成感も変わってくると思います。もちろん建前ではなく本音と潜在意識の次元でですが。企業経営でも、たとえ中小企業でも、世界のトップレベルの経営品質の企業を目指すのか、プロとして他社の模範となるような日本での一流のレベルを目指すのか、存続できればいいと考えるのかの違いではないでしょうか。そして目標は少なくとも一つ上のレベルから観ていないと、目標にしたレベルも到達できないでしょう。それは同じレベルの目標を持った人や組織は多いからであり、また目標達成のために実行することも全ては見えないので、必ず不足する部分があるからです。第2に組織力、団結力の重要性です。個人の力がいくら優秀でもそれがうまく繋がらなかったり、バランスが悪いと十分な結果が出ません。そしてこの組織力の発揮のためには、第1の高い目的・目標の共有を持ち魂もレベルから集中して行動し、瞬間瞬間のコミュニケーション力を発揮し、そしてカメルーン戦でのような組織的な成功体験を作ることも必要です。成功体験は自分たちがしてきた戦術の有効性を確認するとともに、その中で集中してきた個人の潜在能力も開花させ、それがまた組織能力をアップさせるというプラスの循環を生み出し予期せぬ成果を生み出し、組織も個人もスパイラルで進化していきます。実際自分がこんなに力があったのかと驚いていた人も何人かいたようですが。自分自身の自分に対するイメージ、意識が変わらなければ口先だけでは成長もしないでしょうから。第3に個人の技能レベルの重要性です。組織の目的や組織力が重要だとはいえ、それを実行するのは個人個人ですから、個人の基礎的な力がない限り、防御中心の戦術へ切り替えたり、本田のようにMFから未経験のFWに代わっても対応できるだけの技能を日ごろから訓練していることです。この領域ではまだまだ世界の水準には差があるようですが、個人のレベルでも組織と同じく高い目標を持ち、その達成のための具体的な行動を日々実行することは企業経営にとっても同じく重要で不可欠な要件です。個人と組織が有機的に結合し、相互に活かし合うホロニック組織になることが重要です。
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