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「絆」と「土台」・「細胞」~世界の再生・再構築~ 2011年12月
浅 野 良 裕
今年の漢字は「絆」が選ばれました。震災をきっかけに、家族や仲間の「絆」が見直され、世界からの支援による人類的な「絆」や、また部品の供給ストップによる、世界的なサプライ・チェーンの「絆」が認識され、ギリシャ危機の影響が全世界に広がるという経済的な「絆」も感じられました。平素はあまり感じられていない「絆」も、危機の状況ではより強く感じられるのかもしれません。また絆が希薄化しているからこそ、改めて見直されているのかもしれません。家族、友人、職場、企業、地域、インフラ、国家、政治、経済、世界、食物、衣類、家財、物、水、空気、自然界等々。様々な絆、関係があり、それらは重層的、多次元的に関係し合っており、これらすべてが生活のためには必要な絆と言えるでしょう。この中でも、最も強いを思われる絆である家族や、また自分の身体、心、自分自身との絆も弱くなってきているのが、現代社会における大きな課題なのかもしれません。かっての農業社会、村、村落共同体では、家族は強固な繋がりを持つとともに、村の中でも、ほとんどの情報を共有する等濃密な人間関係を持っていました。また人々は大地、水、空気、植物、動物等、直接自然と触れ合い、感じながら生活していました。これが近代社会になると、貨幣・お金、市場を媒介とし、人々の絆、生活範囲は大きく広がり、衣食住とも自然を加工し、生活領域は広がり、この意味では、自然界との絆も、その領域を広げていきました。この生活圏の拡大は、主に市場を通して、市場の見えざる手により行われてきました。つまり見えない絆により、人間のコントロールの枠外で行われてきたましたが、この経済活動が巨大化し、原発災害や環境問題、世界的な通貨危機、経済危機にまで波及するようになり、これらをコントロールことが必要になってきました。この変革は歴史上もかってなかったような大きな変革であり、価値観や社会システムの「土台」から、あるいは「細胞」レベルからの変革が必要になることでありましょう。10階建ての建物を100階建てにするには、10階の屋上に継ぎ足しするだけでは無理であり、土台を何倍にも掘り下げると同時に、構造や素材そのもの、つまり細胞レベルから見直し、改革・変容させていくことが必要です。これは、これまでの見えない絆・構造を「見える化」することでもあります。社会主義は、これらの一部をコントロールしようとして失敗しましたが、土台や細胞をそのままにして、上から国家レベルから表面的に改革しようとしても、無理な話でした。では今の世の中の、土台や細胞とは何でしょうか?土台は、社会的意識=法律や価値観、政治・経済システム、資源や自然環境等であり、細胞は、個々人の意識や身体、感性、仕事や生活の習慣、家族や人間関係の在り方等です。復興する新たな「絆」は、このような土台からの改革により、家族や身近な人間関係だけでなく、世界中の人たちと、家族や友人のような関係・絆を結ぶようになること、自然とも共生関係を結ぶことではないでしょうか。前回「段取り」は経営改善であるというお話をしましたが、段取りの改革は仕事の細胞レベルからの改革であり、自然との関係も含めた人類の新たな「絆」の再生・再構築の「土台」「細胞」ともなるのではないでしょうか。
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