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経営課題と経営目標~顧客と商品、管理会計~ 2011年7月
浅 野 良 裕
先月は時代や社会の変化とともに、経営課題や経営目的も変わっていくというお話をしました。特に3.11以降、価値観や社会的・個人的ニーズの変化につれて、企業経営の目的や社会的存在意義を、経営者は経営のプロフェッショナルとして大局的・歴史的に再更新していく必要があるのではないでしょうか。しかしこれは中長期的な課題であって、当面の経営改善のためには別の視点も必要になってきます。利益やキャッシュフローの確保、経営改善の方策として、まず考えられるのは、コストカットや不要資産の処分です。余分な支出、費用や資産を削減することは既に多くの企業で実行されており、更にこれが必要な場合もあるかもしれません。しかし、付加価値の生産が企業の社会的使命・存在価値である以上、根本的な経営改善は、この付加価値・売上の減少を食い止め、増加させることでしか達成できません。そして売上高、付加価値を増加させるためには、顧客ニーズに合った商品を、的確にその商品・サービスを必要とする顧客に販売していくことが必要です。したがって売上、付加価値が減少しているとしたら、この顧客ニーズ、商品の内容の分析と革新が不可欠の要素です。しかし本当の顧客ニーズ、潜在的ニーズも含んだ進化するニーズや、商品の提供している本当の価値を徹底的に追及している企業は少ないように思われます。また顧客の方でも、これまでの習慣で使っているとか、まわり・世間と同じようにとかで買っている商品やサービスもあるように思われます。「断捨離」が話題になっているのは、このような生活習慣を見直す動きでもあり、経営、経済の大きな流れかもしれません。したがって、現在の商品・サービスの本当の存在意義を見直し、改善進化させ、お客様の未来ニーズ・価値を更に深く探求していく必要があります。お客様のニーズも個々に個別化されてきており、これに対応していくことも必要です。この探究のためのツールとして、企業の概況を作りました。6つの中での最も基本的部分は、この顧客と商品の部分、商品力と営業力の部分であり、そのために使っていただけたらと思います。しかし分析のためには、実際の基準となるデータも必要であり、これは顧客別、商品別の売上や原価、粗利益等です。どのような商品、顧客の売上や粗利益が増加したか、減少したかは顧客ニーズや商品価値の動向を見るうえでは不可欠のデータです。また商品と顧客はペアですので、商品と顧客・市場をマトリックス的に2次元的にみる必要もあります。商品や顧客のライフサイクルによって、個々の売上等は変化していきますので、この動向に合った事業活動をしていかないと効率的な活動にならず、エネルギーの無駄遣いにもなります。この場合単に売上等の金額だけを見るのではなく、販売数量、販売単価の動向を見ることも重要です。顧客別、商品別と言いましたが、これをどのような基準で分類するかが重要です。例えば、ある商品を拡販しようとする時、どのようなお客様を対象にするかですが、年齢別、性別、規模別、業態別、既存客等いろいろな区分の方法がありますが、その商品の潜在的な需要層、ターゲットを絞り込んだ適格な区分にしないと、戦略的に使えません。このフォーマットや売上分類等の設計は、管理会計・経営会計の重要な役割です。
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