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3.11と人類の成人式~仕事をする、仕事をさせられる~ 2011年8月
浅 野 良 裕
3.11以降、大企業の経済活動は予想よりも速く復旧してきたようですが、地域経済を始め被災地の復興は思うように進まず、また原発の安定化も予断を許さず、放射能汚染地域の再生はまだその目途もたっていない状況にあるようです。このような日本ですが、世界的にはアメリカの国債格下げや、ヨーロッパでの国家の財政破綻の危機等により、円高は進んでいますし、中国でのインフレ、バブル崩壊や事故等による政治体制の危機、中東での政変等、世界的に問題は山積し、顕在化してきています。リーマンショック以降の個別企業の危機を、国家の財政出動等による政策で回避してきましたが、今度はその危機が国家にまで及んできた状況と言えるかもしれません。また原発や自然災害、気候変動、生物種の絶滅等の問題は、人類の科学技術が進み、自然にまで影響を及ぼすようになった結果ともいえます。そして、科学技術や経済社会システムは進んだのですが、まだ中途半端で自然との調和を図るところまでは行っていない状況と言えるでしょう。産業革命以降、経済社会の発展、ビジネスゲームの成長は、ある意味では人類がやりたい放題やってきたやんちゃな少年時代とも言えるものかもしれません。利益を目的に事業を興しそれが経済発展に結びついた幸せな時代。しかしもはやそれは許されない時代になったのではないでしょうか?人類は社会人として社会的な責任、地球に対する責任を自覚して行動する時期に達しているのではないでしょうか。いつまでも感情に任せた喧嘩・戦争や自分だけの利益を追求するのではなく、人類全体が調和的に発展しなければ、自分達の利益も守れない段階に来ているように思われます。そして残された時間はそんなに多くはないのかもしれません。では大人になるとはどういうことなのか?それは個人個人の意識が変わり、行動が変わり、人類としての集合意識が変わり、文化・文明が変わっていくことです。文明=civilization、文明化=civilizeとは、civil(citizen)=市民化のことであり、近代市民革命=産業革命は、個人の自由・確立を謳いました。これは個人レベルではちょうど、幼年期から自己が目覚め始める少年期=個の確立への移行にあたると思います。自我が目覚め、反抗期に入り、社会の中での自分の役割を探っていきます。そして少年期から成人になるとは社会に出て自立する、社会的責任を負う時期に当たりますが、今ここで本当に自立できたかどうかが問われています。今回の震災でも、政治家や官僚、東電等は、自分たちの社会的使命・ミッションを果たすよりも、自分たちの利害を優先して動いているように見えます。自分の立場、利害やこれまでの仕事のやり方を変えられないのは、それらに従属し、自立していないからです。言わば自分の仕事に自信がない、仕事をさせられているばかりで、自ら創造的に仕事をする喜びを知らないからではないでしょうか。仕事の目的・本質を理解しないで、ただマニュアル通り、教えられたとおりに仕事をする。そこからは仕事の喜びも、自分に対する自信・誇りも生まれてきません。顧客や社会、自然に対するレベルアップしたプロフェッショナルとしての貢献こそが、自分の満足にもなり、立場や利益の強化にもなるという仕事の循環を創ることが、細胞レベルからの人類の成人式になることでありましょう。
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