メインコンテンツ
経営改善と危機の構造~事業継続計画~ 2012年2月
浅 野 良 裕
昨年の震災以来、事業継続計画(BusinessContinuityPlanning,BCP)が話題になっています。災害等の非常事態への対応策であり、事前の予防対策と危機発生時・後の対策ですが、今回の災害発生とその後の対応を観ていると、政府をはじめとする日本の対応が、いかにも多くの課題を残しているのかが分かると思います。特に原発災害に対する事前対策の不備や、発生時以降の対応の不十分さは、危機管理体制の問題だけではなく、日頃の日常業務における問題も浮き彫りにしているようです。専門家と言われる人は多くいても、問題を的確に解決できる本当の意味でのプロフェッショナルな専門家の不在は、この社会の本質的な問題点かもしれません。自分の狭い領域の不完全な知識・技能だけで、全体が体系的に分かる人の不在。システムを作る段階ではこういう人が不可欠だったでしょうが、いったん出来上がると問題さえ起きない限り、全体が見えなくてもシステムは動いていき、何が課題かさえも分からなくなって行きます。事業継続計画BCPは、普段は見えなくても良かった問題、サプライチェーンや自然環境、設備や人材の能力、情報の価値・保存、業務の重要性の判断等の様々な面で、企業の背後の実態を分析していくことから始めます。このBCPは、世界的にはコンピューターの2000年問題から発生してきたようですが、9.11では、対策を打ってきた企業と、してこなかった企業のその後の明暗(倒産比率等)が分かれたことから、必要性が再認識されてきたようです。今日、自然災害やテロ戦争、等だけでなく様々な大規模な危機が予想されます。その一つに経済危機がありますが、ギリシャ・ユーロだけでなく、財政問題だけをとらえれば日本は最悪の状況にあります。GDPの220%、40兆の税収に1000兆の借金では、通常では返せるはずもなく、消費税を20%にしても不可能なレベルです。地震がいつかは突然来るように経済的な津波も、来る時は突然やってきます。問題を先送りするのが、日本だけでなく世界的な傾向ですが、個々の企業や個々人は生き残るためには、その中でも対策を考えていく必要があります。そしてBCPを考えることは、先ほども申しましたように、単に緊急時のことを考えるだけでなく、企業活動の抜本的な見直しをすることにより、通常の日常業務の経営改善にも繋がります。自社の最重要な活動は何か、商品サービスの本質は何か、取引先、人材、情報、設備、資金等の重要性や緊急性、自然環境等々。いろいろな要素とその関連性を深く広く考え、実行することにより、経営全体の改善に寄与するはずです。すべてを基本から、その必要性を本質的、抜本的に考えれば、無駄なものも、更に必要なものも見えて来るはずです。危機意識を持つことが成長・進化への近道だと言われますが、リスク管理、BCPを徹底することは、企業や個人の新たなステージ・再生への一歩になることでありましょう。ピンチはチャンス、飛躍への追い風です。
お気軽にお問い合せください
-
052-851-6311
受付時間:月~金 9:00~17:00