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金融円滑化法の終了と震災(経営)復興 ~ミッションの再定義とIPDCA~ 2013年3月
浅 野 良 裕
震災から早くも2年が経ちました。しかし一部の都市部はともかく、大半の市町村では復興の進捗度はまだ20%未満と進んでいないようです。この原因としてタテ割り行政や、行政と住民の関係、住民の間での利害関係、過疎化、産業構造、ビジョンの不足等様々な問題が上げられています。またこの震災の直後には、自然との関係や科学技術、社会の在り方も含めた20世紀型の文明の課題を解決するための21世紀型の文明へのイノベーション・革新・改革が必要であるとの議論も盛んでした。これらは大きな問題なので簡単には進まないかもしれませんが、それでも遅すぎるのではないでしょうか。先日のNHKでも原発関連で、3号機の水素爆発の原因として外部からの冷却水配管の不備が指摘されていましたが、これなどは海外のユーチューブでは2年前の3月には流されており、海外ではその対策工事が完了しているところもあるのに、日本では事故の報告書にも書かれていないという段階のようです。(課題の見える化)問題の原因を解明し、必要な対策を計画し実行するという当然の流れがなぜか遅々として進みません。単にこれまでやってきたことと同じようにするだけの復興だったら速く進むのに、新しいシステムや対策を構築するのが苦手なようです。(ビジョンの構築)今月はまた金融円滑化法が終了する月です。円滑化法による返済猶予は、抜本的な改革への時間的猶予であり、単なる時間稼ぎではないはずでしたが、改革が進んでいる企業は10%程度とも言われています。円滑化法・リスケの条件として、経営改善計画の策定がありましたが、この計画自体が単なる数字合わせが多く、ビジネスモデルの再構築、社会的存在意義・ミッションの再定義といったような抜本的なものではないことが多かったように思います。このため政府・金融庁は、計画作りだけでなくその達成のためのPDCAサイクルの管理や、計画達成率の評価をするように要請してきており、この達成率が70~80%は必要であると言われています。しかしPDCAの管理体制だけを強化しても、明確なビジョン、計画がないと、がんばれ、がんばれの単なるプレッシャーだけになり、最初は少しは効果があるかもしれませんが、長続きはせず結局計画は未達成ということになり、金融機関からは貸付返済を迫られることになるかもしれません。ソニーやパナソニック、シャープといった世界的にも有力な企業があっという間に業績不振に陥るといった超スピードの変革期にあってどの企業も抜本的なビジネスモデルの変革は不可避です。このためには、①個人や組織の存在目的・ミッションを再定義し、理念・目的を再構築し、それを実現するために、②過去の成功体験や、既得権、固定観念、プライドから自由になり、現状の課題を明確にクリアに見ること、そして③実現プロセスPDCAのサイクルを回すことです。PDCAの前にI:理念を入れたのは、PDCAのプロセスのすべてで、理念を意識して行動することが必要だからです。これら①~③のすべてが達成された時、プロセスや理念自体の次元も上昇し、新たな進化、新しい文明が始まることでしょう。
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