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第2敗北論と軽減税率
浅 野 介敬(良裕)
もうすぐ平成の時代が終わりますが、最近「平成の30年間、日本は敗北の歴史だった」と経済同友会の小林さんは言っています。80年代の終わりには日本は一人当たりGDPでは世界のトップに立ち、株式時価総額では世界のトップ10に8社が入っていたのが、現在は一人当たりGDPでは20位に落ち、GAFAの時代、世界の企業トップ10には1社も入らないという状況である。
またテクノロジーの面では更に悲惨で、半導体、太陽電池、光ディスクなどの先端技術や製品の品質面で世界のトップを走っていたのが、今では中国や台湾、韓国などに席巻されている。
そして車の自動運転や遠隔医療等次世代の基幹技術なる5Gでは、中国のファーウェイや北欧のエリクソン、ノキア等から日本は圧倒的に離されている。このままでは5GやAI、サイバーセキュリティー等基幹的技術を欧米や中国から取り入れなければならなくなる。産学官連携と言われているが、研究開発では大学も含め力が落ちている。財政出動や金融緩和によるアベノミクスは本来は緊急措置、時間稼ぎのためだったがこの6年間の間に日本は独創的な技術や産業を生み出すことに失敗した。
しかしながら国民の75%は現状の生活に満足しており、危機感がなく茹で蛙状態になっている。若者の意識でも、欧米や韓国中国等と比べて、新しいものに挑戦する意欲が薄く、将来の希望も乏しいとのアンケートもある。
世界は激変しているのにその自覚もなく、国家の未来図が描かれないままの政治が続いているのに国民は勉強しない、考えない。このままいくと挫折し滅んでしまう。ここから立ち直るために単なる労働力として外国人を入れるのではなく、勉強する、考える日本人を増やすための触媒の役割を果たすように、異文化と接し進取の気性を再生するために。
というような内容です。
ところで、消費税の増税に伴い、食料品等の軽減税率の問題で多くの問題点が指摘されています。取り扱いがやたら複雑で、何十ページもの質疑応答やマニュアルを見ないと正しい処理ができないような状況です。軽減税率を導入するための余分な社会的コストを考えたら、もっと他に方法があるはずですが。
産業再生のための補助金等の取り扱いでも、補助金を得るために表面的・形式的、過去踏襲的な思考や余分な労力が必要になります。独創的な発想や技術、物事の本質を捉え、効率よく品質の良いものを創造するのとは真逆の方向です。
日本ではあまりにも枝葉のことにとらわれ過ぎているように思います。枝葉にとらわれ過ぎると、物事の本質、根幹が見えなくなり、全体が見えなくなると、目先のこと、身の回りのことしか見えなくなり、自分がどこにいるかも分からなくなります。
こうした思考や意識が、成長しようとして逆に衰退を招いたのかもしれません。個人もそうですが、国家レベルでの自国中心主義も文明の衰退を現しているのではないでしょうか。ならばこれは日本だけの敗北ではないかもしれません。勝利の女神はどこにいるのでしょうか?
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