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令和の時代と働き方改革
浅野 介敬(良裕)
今月から元号が令和に変わりました。象形文字としての語源から観ると「令」は礼冠を着け、ひざまずいて神意を聞く人の形を表しているといわれています。そしてこの令に口を付けた命も同じ意味に使われていました。神の意思、その器としての命。神の命ずるところ。命令です。そして神の意思を聞くのが神官となり、上からの指示ということで現在使っている命令等の意味になってきたようです。
つまり神からのお告げが、神官を通して人々に伝えられ、これが転じて人間による命令、掟・法令・美しきもの等に変わっていったのでしょうか。
また「和」の字は、禾と口からなっています。禾は軍門に立てる標識の木の形。口は盟誓の書を収める器の形。つまり軍門の前で盟誓・固い約束をして和議を行うこと。和平、平和の意味になっていきます。単純な平和というよりも戦争との緊張感を持った平和かもしれません。
したがって、令和とは語源的に観れば、戦争や競争から和解和睦し平和を作るために、神からのお告げ、宇宙からの直観を聴くということでしょうか。
令の字には、神と直接に繋がるのか、他者からの命令によるのか2つの選択の問題を孕んでおり、また和の字にも平和と戦争の両方の意義を含んでいるため、令和の時代はそれらの選択の時代となるかもしれません。美しく気高い調和と平和の時代になればよいのですが。
そしてこの4月から、働き方改革関連法が施行されました。この法律は「長時間労働の是正」「正規・非正規の格差の解消」「多様な働き方」の3つが柱となっています。これらは主に労働環境の問題ですが、より本質的には、AIやネット社会、グローバル社会の進展に対応した、「働き方そのもの」の改革が必要になっています。
先日発表されたスイスのビジネススクールIMD世界競争力ランキングでも日本は前年の25位から63か国中30位にまで順位を落としました。
特にビジネスの効率性の分野では46位となり、昨年の36位から大幅に落ちています。その中でも「生産性と効率性」「経営慣行」「姿勢と価値観」といった領域での低下が目立ちます。
基本的な仕事・働き方に対する自覚的な目的意識に乏しく、前例踏襲や忖度、与えられたことをするばかりで自分で考えない慣行、その結果としての生産性の低さでしょうか。
先ほどの令でも観ましたが、自分で神や宇宙・自然からの声を聴くか、命令に従うだけかの違いかもしれません。法令順守にしてもあまりにも枝葉末節的なことが多いようです。多様性・ダイバーシティの世界の中で、自分たちで考え適切な行動をしていけないと、やたらに法令だけが増えていって、がんじがらめになっていきます。
他方、日本は持続可能性に関する長期的な基準においては、「持続可能な開発」で1位、「環境関連の技術」で2位となっています。こうした分野はまだまだ特定の企業の貢献によるところが多いかもしれませんが、日本は環境問題等の先進国としてその潜在的可能性を発揮し、世界をリードし、持続的な調和と平和をもたらせるのではないでしょうか。
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