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生産性向上と生活の向上
最近100年安心と言われてきた年金制度が問題になっています。しかしこの問題は人口動態等を考えれば数十年前から分かっていた問題であり、今頃になってという気もします。先月は国際競争力が特にビジネスの分野で極端に順位を落としており、生産性の向上が必要だと言う話をしました。
逆に国際順位でダントツの1位のものがあります。それは少子高齢化の進展と、国債残高の対GDP比です。少子高齢化の進展は社会を支える労働人口の比率の低下によって、年金や医療等社会保障の問題や教育等様々な問題を引き起こしますし、国債の返済負担は将来へ問題を先送りしています。
このどちらの問題もその解決のためにはGDPの増加、1人当たりGDPの増加、生産性の向上が不可欠ですが、この生産性自体が1990年代以降国際水準から見て、大きく下がっているのが問題です。働き方改革では長時間労働や格差の是正が課題になっていますが、こうしたことをしても生産性は増加してきませんでした。個人個人は一生懸命仕事をしてきても、所得の増加、生活の向上にはあまり繋がらないのはなぜなのか?
生産性の向上のためには、人の要因、設備・資本の要因、それらや情報、技術等の組み合わせの要因等いろいろありますが、日本は特にその最後の、全体的な組み合わせを創造する力が弱いようです。つまり新しい発想を持って、既存の経営資源(人、物、金、技術、情報等)を組み直したり、企業組織の改革や、仕事の流れ、やり方を革新していく力です。
ICTやAI等の個々の設備や技術、情報の導入だけでなく、既存の仕事の方法や見方を超えて、より広い視野、複眼的、多元的な視野をもって改革することが必要でしょう。このためには人材教育が重要です。これは一般社員だけでなく、経営全体のシステムの責任者である経営者の教育も一層重要となります。
科学技術の急速な発展は、以前の学校教育で受けた知識を急速に陳腐化していきます。したがって最新の科学技術を経営に活かそうとすれば生涯教育が必要になってきます。学校や大学は今少子化によって経営の危機にありますが、これまでのような25歳位までの学生を相手にするだけでなく、それ以降の成人を対象にすればもっと多くの市場が開拓できます。学校だけが教育の場ではありませんが、社会全体での人間の能力アップのためには、教育制度の改革も不可欠です。教官自体も専門分野だけの知識でなく、社会人の多様な価値観・見方から刺激を受けお互いに成長できると思います。
こうしたことをするためにも企業はより付加価値の高い商品サービスを提供する必要があります。特に生産性が低い中小零細企業は価格競争ではなく、想像力と小回りを効かした高付加価値の商品の提供が必要です。こうした教育のための時間、コストの捻出を国家レベルで支援することも必要でしょう。
社会全体における経営資源の配分や、経済の仕組みは、国家レベルの問題ですが、政治や官僚機構等の進化も必要です。個人、企業、地域、国家のそれぞれのレベルと相互の関係、システムの改革が生産性の向上になり、働き方改革になるのではないでしょうか。
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