メインコンテンツ
社会的コスト意識と考えない人
先月は働き方改革=生産性の向上に関して、日本と条件が近いドイツの例に引いて考えてきました。生産性が高い理由として、仕事に対する姿勢、考え方、情報の共有等企業内でできることを中心に述べてきましたが、今回はそれらを支える社会的な意識や国の制度について検討していきます。
ドイツでは日曜や祝日には原則、店舗等の営業は禁止されており、またトラックの高速道路走行も原則禁止されているようです。これは消費者からみれば不便であり、商品サービスを提供する企業にとっても、ビジネスチャンスを失うことになります。しかし個人のワークライフバランス、仕事を含めた生活の質の向上、社会全体の生産性の向上という視点から見れば有効だということでしょう。
つまり個人や個別企業の視点からだけでなく社会的な視点が必要だということです。ドイツの高速道路・アウトバーンは速度無制限の区間がありますが、このような個人的な自由を成立させるためには、法律的規制、社会的意識も必要だということです。
この社会的な意識を考えるのに必要な視点の一つに社会的コスト意識があります。つまり商品サービスを提供するにあたって、自社のコストだけでなく、それに付随する社外のコストも計算に入れることです。例えば商品の処分費用や使用保管にあたっての保守費用等です。社会的なムダの排除ということです。
10月から消費税が改訂されますが、軽減税率や経過措置をめぐっていろいろな議論がなされています。これらも社会的な費用といえるでしょうが何の付加価値も生みません。税金に関しては税額の問題だけでなく徴収費用も必要ですが、これも国家や地方公共団体のコストだけでなく、企業や個人にもコスト負担となっています。税制ができるだけ簡素なほうが良いというのもこのためですが、現実にはますます複雑になっています。
補助金なども100億円の補助金を出すのに50億円の国家予算が使われています。これに補助金を受けるための企業の費用を加えると何のための補助金か分からなくなってしまいます。
コンプライアンス、マニュアルに対する考え方姿勢の問題もあります。先日伊丹空港から羽田への午前7時30分発の便で起こった事件があります。その便に乗る乗客から7時前の手荷物検査でアーミーナイフが発見されましたが、それを検査員が乗客に返してしまいました。後にそれが問題になり大騒ぎになり会議が続けられましたが、結局何時間も後から空港の手荷物検査を通ったすべての乗客(すでに機上している人も含めて)に再検査をしました。このため各便は大幅に遅れ欠航便も出て何千人何万人もの人々に大きな影響を与えました。しかもこの時、搭乗便にも羽田にも連絡もしてなかったようです。マニュアル通りにした結果がこうだったようです。
これらは何を意味しているのでしょうか。あまりにも目先や自分の個人的短期的な利害ばかりを考えて、広い視点や長期的な視野で考えられなくなっている人が多いのではないでしょうか。社会的な問題は、結局は個人の生活に影響してくるのに。
お気軽にお問い合せください
-
052-851-6311
受付時間:月~金 9:00~17:00