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平成から令和の時代へ 1989年と2019年
先日即位礼正殿の儀が行われました。これは天皇が自らの即位を国の内外に宣明する儀式ですが、海外からも前回を上回る190か国余りの国から王侯貴族や元首首脳クラスが参列され世界的にも注目されました。
さて前回の即位の年、30年前の1989年を振り返ってみます。この年はベルリンの壁が崩壊し、東欧ではソ連の支配から離脱する民族回復、民主主義革命が起こり、戦後の基本的な国際社会を作ってきた冷戦体制が終結した年でした。そして中国では天安門事件が起こり、世界的に激動の年であり、戦後の大きな転機の年であったといわれています。
日本ではこの後のバブル崩壊から、失われた20年とも30年ともいわれる経済的低迷期に入り、また2年後にはWebサービスが始まり本格的な情報化時代の幕が開きます。科学技術の発展は遺伝子操作にまで及び、食べ物、医療、車、建物等生活の多くの領域をも変えてきています。そして社会主義圏の崩壊のあとは、東欧等も含めて新自由主義経済が世界を席巻し、グローバル社会が形成されていきます。
情報化の進展は、スマホからAIへと進み、AIは単純労働だけでなく、自動運転、音楽の作曲や詩や小説までも創造し、これまでの人間の仕事の領域に侵入し、仕事・働き方の在り方まで変えようとしています。創造力、人間の独自性が問われています。
また80年代頃から問題になっていた環境問題は、近年では100年に1度といわれる自然災害が毎年のように起きてくるという状況にまで進展し、持続可能な世界のための対策も待ったなしの状況にあります。
2019年、冷戦・米ソ対立は米中対立へと変わり、新自由主義的なグローバリズムは、自国ファーストの国家主義へと転化し、新たな戦争の危機も想定されるようになってきました。その他日本を筆頭に世界的な少子高齢化、経済成長率の鈍化、マイナス金利、経済の国家・財政への依存等、様々な問題を抱えています。
1980年代の初めには考えられなかったような1989年の変化は、この平成の30年間で大きく進展して来たとともに、課題も顕在化してきました。2019年の今すでに大きな変化が予想されていますが、これからの30年その想定以上の変革が起きることでありましょう。
現在の課題をまとめてみると、1つは環境・災害・健康問題等自然との関係、2つ目は格差、貧困、戦争、経済等社会的な問題、3つ目は科学技術、イデオロギー、哲学等人間の意識にかかわる課題であり、これらは相互に密接に関係し合っています。
そして個人、企業の存在の在り方に大きな影響を及ぼすとともに、その範囲は広がり人類・ホモサピエンスという種全体の存亡にかかわります。大きな難しい問題ですがこの解決をAIに任せていいのでしょうか。それともこのままあまり考えず想定外として、自然の流れに任せてもよいのか。これからの30年間はその大きな分岐点かもしれません。
天皇陛下は、人類の幸福と世界平和を願われましたが、それを達成するためにもこれまでの文明、歴史を振り返り、再構築することが必要かもしれません。
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