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ムーンショットと未来社会
政府は昨年1月に、未来社会のビジョン、目標としてムーンショット目標を公表した。(ムーンショットとは、1961年世界初の有人宇宙飛行を成功させたソ連に対抗して、ケネディ大統領が1960年代の終わりまでに月に人を着陸させるというアポロ計画を立ち上げ成功させたことからきている。当時としては実現させるのが非常に困難で高すぎる目標を達成したことから、飛躍的、破壊的な高い目標設定することをムーンショットと呼ぶ。)
公表された内容では、2050年までに人々の幸福を目指し、その基盤となる社会・環境・経済の諸課題を解決すべく、7つのムーンショット目標を設定している。
社会面では、少子高齢化、労働人口減少、人生100年時代、一億総活躍社会等の課題を解決する、急進的イノベーションで少子高齢化時代を切り拓くこと。
環境面では、地球温暖化、海洋プラスチック問題、資源の枯渇、環境保全と食糧生産の両立等の課題を解決し、地球環境を回復させながら、都市文明を発展させること。
経済面では、Society5.0実現の計算需要増大、人類の活動領域拡大等の課題解決をする、サイエンスとテクノロジーでフロンティアを開拓すること。
なおSociety5.0とは、狩猟社会Society1.0、農耕社会2.0、工業社会3.0、情報社会4.0の次に来る、新たな未来社会を意味する。
そしてこの3つの領域での課題解決のため、長期的に達成すべき7つの目標を提示した。
目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現。
目標2:超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会の実現。
目標3:AIとロボットの共進化により、自ら学習行動し人と共生するロボットを実現。
目標4:地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現。
目標5:未利用の生物機能等のフル活動により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食糧供給産業を創出。
目標6:経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピューターを実現。
目標7:2040年までに、主要な疾患を予防・克服し100歳まで健康不安なく人生を楽しむためのサステナブルな医療・介護システムを実現。
最近の脱炭素やデジタル化の政策は、こうした未来予測、目標の設定から来ているとも
思われるが、果たしてこの目標は妥当だろうか? また実現可能だろうか?
全体的な印象として、横文字が並び、科学技術の進化への信奉が強い。
目標1では、身体や脳、空間、時間の制約から解放するためにサイバネティックアバタ
ー、電脳ロボットが想定されており、人の動きの代わりにロボットが動き、人の頭脳の代
わりにAIが考える世界はバラ色の未来なのだろうか?
現在はコロナ禍の最中であるが、自然の開発と温暖化の影響で新たなウィルス、感染症のリスクは高まっており、原発災害も収束せず、地震、火山噴火、台風、異常気象のリスクは高まっており、人間の科学技術による自然のコントロールは、30年の期間では困難な状況ではないだろうか。自然の声を聴き共生できるかが課題ではないだろうか。
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