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医療崩壊と実務能力の低下 エッセンシャルワーク
変異型ウィルスは全国的な拡がりを見せ、緊急事態宣言は5月末まで延期された。しかし宣言地域でも感染者の減り方は少なく、自宅待機者は増加し治療を受けられないままの死亡者も増え他の病気の治療も滞り、大阪などは医療の逼迫というよりは崩壊と言った方がいい状況かもしれない。
またワクチン接種が始まっているがこれも予約の段階から混乱が続き、折角ワクチンが入手しても接種が進まない市町村が多い。世界的に見てもワクチン接種率は100位以上で開発途上国並みである。検査、医療、ワクチンと1年以上前から分かっていたことが、なぜ順調に行われて行かないのだろうか?
かつては日本の官僚機構は世界でもトップクラスの実務能力を持っていると言われ、一人当たりGDPも世界のトップにもなっていたのに、今では20位以下になり、感染者数は逆に十数位にまで上がってきてしまったのはなぜだろうか。世界の最先端を走っていると思われていたのが周回遅れになってしまったように見える。
この30年ほどの間に世界は大きく変わってきた。グローバル化や情報化、気候変動や国家主義の台頭等の変化に適応できていないのかもしれない。変化に適応するには、課題を明確に認識し、逃げることなく透明性をもって対応し、想像力を発揮しイノベーションを起こし、自ら変化していく必要がある。
このためには、透明性を重視し、率直に意見を出し合い、多様な視点から物事を考えていく必要がある。近年多様性・ダイバーシティーが問題になるのはこのためである。
多様性とは性、年齢、人種、役職、社会的地位、能力、価値観、宗教等の差によって差別することなく、また固定観念で決めつけ批判するのではなく、すべての意見をとりあえず受容していくことである。
この反対がハラスメント。パワハラ、セクハラ、モラハラ、エイジハラ、コロハラ、ワクハラ等々。そしてその裏返しとしての忖度。ハラスメントで難しいのは、行っている本人に認識がないことである。相手の多様な立場を理解し、多様な視点から、広く深く物事を考える習慣をつけていないと気が付くのが困難なことが多い。
「今だけ、金だけ、自分だけ」という言葉がある。過去から学び、未来を構想し、金銭、数字以外の多様な価値を感受し、自分だけでなく周りの人々、他国の人、人類、地球まで視野に入れ、心配りができるのとは正反対の。
パンデミックのように、短時間で大きな対応をしなければならない時には、枝葉末節的な事を行うのは、かえって資源の無駄になりマイナスになる。このためには自分の仕事、行動を広い視点から俯瞰する必要がある。優先順位、重要性の判断、つまりエッセンシャルワークが要求されるがその意識、訓練ができているだろうか。
縦割り組織、自分の仕事・責任の範囲を小さく限定する個人から進化する必要がある。第2次大戦時の大本営発表、本土決戦論は、情報の非公開と改竄、感情的で現状を科学的に客観視できない体質から来た。コロナ対策、オリンピックがそうならなければよいが。
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