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エッセンシャルワーカー
2週間ほど前に税理士会から「税理士業は医療、県民生活・県民経済維持の業務を支援する事業に該当することから、社会機能維持者(エッセンシャルワーカー)である。」というメールが届きました。この効果は濃厚接触者になった場合、所定の手続きを行うことで待機期間が短縮されるということのようです。
エッセンシャルワーカーとは、医療関係者や介護関係者、インフラ、飲食や生活必需品供給等の、緊急で、必要最低限の生活を送るために必要な事業者と思っていました。そこで政府の出している資料で調べてみると、社会機能を維持するための事業ですから、流通小売、物流運送、製造、金融、教育、行政、サービス等ほとんどの業種が、解釈によっては該当するようです。
これではわざわざエッセンシャルワーカーと定義する意味がないのではないでしょうか。エッセンシャルワーカーとは本来それ以外の不要不急の事業と区別して使われている言葉のはずですから。この時期にこうしたことが言われるのは確定申告の時期で、税収の遅れに影響するからかもしれません。
また「所定の手続きを行うことで待機時間が短縮される」となっていますが、この所定の手続きが問題で、自宅等での療養手続きが整っていることの確認や、抗体検査等の実行が必要で、これらを自分でしようと思うと数十枚の資料を読んで理解をする必要があります。医療体制を統括している保健所の業務が滞っているときに、これを実施しようと思うとまた無駄な時間を費やすことになるでしょう。
そもそもエッセンシャルワーカーは、エッセンシャルワークは何かということが前提で、決まるもので、業種だけで決まるものではありません。例えば医療でも、救急時に素早く対応し、必要な治療を行うことが重要で、そのために待ち時間がなく、適切な対応をとれるようなシステムを作ること自体がエッセンシャルワークになり、逆に無駄なことをやらせ助かる人も助からないようなやり方は、エッセンシャルワークとは言えないのではないでしょうか。2年以上前から医療体制の整備が求められているのに、その整備ができないのはエッセンシャルワークの意味が正しく認識されていないからだと思います。
このコラムでも何回も述べていますが、業務自体の目的、意義を再定義し、業務の流れ、システム全体を再構築していく必要があります。
エッセンシャルワークの反対語としてブルシット・ジョブがあります。「くそどうでもいい仕事」という意味ですが、意味がない、世のためにも人のためにもなっていない、どうでもいい、ただ惰性・習慣、保身で行っている仕事も多いのではないでしょうか。
今世界ではコロナ危機だけでなく、気候変動、戦争、格差、環境問題等、課題は山積みです。無意味な仕事に費やしている時間はないはずです。
どんな仕事もある意味、社会的に存在する以上誰かのためにはなっているのでしょう。しかし世界の問題がある以上、必ずしも世界全体のためには役立たず、むしろ害を与えるほうが大きいものも多いかもしれません。もう一度自己の仕事を見直し、エッセンシャルワーカーになりましょう。
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