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国際競争力の凋落と日本の再生
先日スイスのビジネススクール・国際経営開発研究所(IMD)が2022年の「世界競争力ランキング」を発表した。世界的に評価されているこのランキングで、今年日本は63か国・地域中過去最低の34位という結果になった。1989年から90,91,92年と連続して4年間1位だったのが、毎年のようにランクを落としている。
1位がデンマーク、2位スイス、3位シンガポール、4位スウェーデン、5位香港、6位オランダ、7位台湾、8位フィンランド、9位ノルウェー、10位米国となり、以下アイルランド、アラブ首長国連邦、ルクセンブルク、カナダ、ドイツ、アイスランド、中国、カタール、オーストラリア、オーストリアと続く。アジアでは27位韓国、32位マレーシア、33位タイで、日本はその後の34位である。アジアの中だけでも8位と低迷している。
このランキングは「企業にとってビジネスをしやすい環境がどれほど整っているか」を基準に、項目ごとのランキングを決め集計していく。大項目として4つの項目があるが、「経済の状況」は20位、「政府の効率性」39位、「ビジネスの効率性」51位、「インフラ」22位となっており、ビジネスや政府の効率性に特に問題がある。
政府に関しては「財政」の62位が際立っているが、ビジネスでは「生産性・効率性」「経営管理の慣行」「グローバル化や新たな課題などに対する態度や価値観」が60位前後、最下位近くで大きく低迷している。生産性や効率性、経営慣行等は、人々の仕事や働き方に対する意識の結果であり、次に働く意識の海外比較を見ていく。
パーソル総合研究所がアジア太平洋地域(APAC)14か国の働く意識、就業意識を調査した結果によると、「管理者志向」では日本は21%で、13位が41%であり断トツの最下位。次に「読書やセミナーに出たりという自己研鑽をしない人」が46%と、大半の国が10%以下の中で、これも断トツの最下位である。
また職場に対する満足度も最低にもかかわらず、起業・独立志向も弱く、転職意向も低い。仕事を選ぶうえで重視することで特徴的なのは、他の国では10位以内にどこも入っていない、「休みが取れる取りやすいこと」が上位に入っていることであり、人間関係重視も目立っている。1位は希望する収入だが、これらから自己研鑽もせず、重要な職務にもつかずあまり働かないで、収入や休みを増やしたいというような姿が浮かんでくる。
このような意識では、競争力が落ち、結果として成果・生産性も落ち、給料も上がらないのは当然かもしれない。そして「世界幸福度ランキング」でも54位と下がっている。生活や仕事に満足していないのに、意欲がわかず目標を見失っているのかもしれない。
また日本は女性上司や外国人、年下上司に対する抵抗が強く、ダイバーシティ・多様性に対する受容度が非常に低いことも明らかになった。異質な他者と交流せず、同質的な狭い意識の範囲に閉じこもっているのでは、世界の中で置き去りにされ没落していく。
この閉塞状況を突破するためには、もっと世界に目を向け、過去にも未来にも視野を拡げ、目標を高く大きく柔軟にし、自分の頭だけでなく、心や身体で考え感じ、行動して行くことが必要ではないだろうか。
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