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チャットGPTと人間の力
最近チャットGPTが大きな話題になっています。対話型生成AIで、質問に対して対話をするようにすぐに反応し答えてくれるので、前例がないほど急速に普及しています。手軽に簡単な問題なら常識的な答えが返ってくるので便利ですが、過去のネット情報から答えを出してきているので、最新の問題や、高度に専門的な問題については間違った答えが返ってきたりもします。したがってイタリアでは使用を禁止したり、アメリカの州でも規制したり、開発の一時中断を呼び掛けている人々も出てきています。
他方、AIは司法試験の上位10%に入り、合格水準に達したり、絵画アートで優勝したりと進化のスピードは目覚ましいものがあります。法律や法則、基準、マニュアル等、数字や言葉の定義や基準の明確な筆記試験はAIの得意分野であり、今後もこうした分野にもAIはどんどん進出してくることでしょう。また創造的活動と言われる芸術、アートの分野でも、AIが小説を書いたり、絵画や音楽作品を作り、個人の創造活動とは何かが問題となり、著作権問題も起きてきます。
チャットGPTは、今は間違いも多く、専門的な分野に弱い面もありますが、学習すれば本来は専門的分野の方が強くなるはずです。したがって法律や医療、法則、規則等の専門分野に特化して学習していけばすぐに人間の能力を凌駕していくことでしょう。すでに企業や自治体等でもチャットGPTを使い始めており、規制やリスク管理の動きはあるものの急速に普及し進化していくことでしょう。この変化は産業革命以来、文字の発明以来の革命的な変革とも言われ、人間の生活を大きく変えていくものと思われます。
このためAIが人間の能力を超えると言われるシンギュラリティも、早まるかもしれません。というかホワイトカラー・知的生産の領域ではすでに普通の人間の能力を大きく超えているかもしれません。
他方、人間の脳の容量は数万年前より十数%減っていることが分かってきました。特にこの減少はこの3千年程前からが顕著ですが、この原因は何かが問題になっています。人間の集団が大きくなることによって、活動が専門化、組織化し、あまり考えなくてもよくなったからという説や、文字の発明で脳が外部化し使う必要がなくなったから等の意見があります。
そして最近では「スマホ脳」と言われるように、スマホからの情報の表面的理解によって、集中力や理解力が低下し、AIの進化とは逆に人間の退化が始まったようにも思われます。産業革命は、人間の活動が機械に代わることにより、人間の筋力を低下させました。そしてこのままでは、AIは人間の頭脳の代わりをすることで、人間の脳力、思考力を更に低下させる可能性が高いでしょう。
機械の場合は人間が操ればよいのですが、思考、意識がAIの考え通りに動けば、人間はAIの奴隷のような状態になります。多くの複雑で困難な課題を抱えている現代、人類はAIに隷属して滅びていくのか、自らを進化させて生き延びるかの歴史の大きな分岐点にいるのかもしれません。人間とは何か? 数%しか使われていない人類の潜在的能力を開放し、サピエンス史の第2幕を拓く時です。
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