メインコンテンツ
インボイス制度と大増税時代 ~消費税か付加価値税か~
10月から消費税のインボイスの制度が始まります。最近になってようやく問題点等が明らかになり、反対や延期の意見も見られるようになってきました。法律が成立したのが2016年11月なのになぜ今頃問題になってきたかというと、制度自体が複雑なこと、マスコミ等からの情報が不十分だったこと等もあるでしょう。
特に影響を受けるのは、これまで課税売上1000万未満で課税業者でなかった事業者ですが、すべての企業で会計処理、税務処理が複雑になり、業務やコストが増えます。反対意見等が出てきたため、経過的な税額や業務負担の軽減措置が追加されました。
しかしながら増税目的で始まる制度ですし、来年度予算も史上最大の支出規模が見込まれている以上、課税当局の姿勢はこれまで以上に厳しくなることが予想されます。軍事費の倍増、少子化対策、感染症対策、国債費の増加、社会保険費の増大等々、支出は目白押しです。国債地方債等の残高がGDPの2.5倍という世界最悪の状況で、円安インフレが続き、国債のランクが下がっても日銀も有効な対策を打てない状況の中で、既に税金、社会保険料の国民の実質負担率は50%近くになってきました。
課題が多く対策が必要なのは当然ですが、その対策が本質的抜本的なものではなく、増税と単なる税金のバラマキでは、問題の先送りと、破局的な危機につながるだけです。
以前にもこのコラムで述べたように、益税(?)対策ならもっと簡単な方法もあるし、そもそもこの種の税制を消費税と言っているのは日本だけです。他国はほとんど付加価値税と呼んでいますし、その方が本質・実態を捉えやすいでしょう。
消費税というと消費者が負担し、企業はただ預かって納付するだけのように思われます。
しかし納付義務は事業者にありますし、消費者が負担すると言っても、法人税等も企業の売上から払うのですから、この意味では消費税と法人税は同じもので名称を変える意味はありません。法人税は利益に対する課税で、消費税は付加価値に対する課税です。また消費者だけが負担するなら、売上消費税をそのまま納税すればよい話です。消費税をヨーロッパ等では付加価値税というのは、企業の付加価値に対する課税であるためであり、この方が現実的で合理的です。
なぜなら消費者は購買力に応じて、税込みで商品を購入するのであり、経済的影響は、税込みで売上を計上し、付加価値に事業者が課税されると考えた方がよくわかります。消費税が増税されると、民から官へ資金が移るため不況になることからもわかります。
今回のインボイス制度で一番打撃を受けるのは、個人事業主、フリーランス等であり、具体的には俳優、声優、イラストレーター、漫画家、ドライバー、一人親方、農家等であり、日本の文化や食糧自給、産業の基盤を支えている人々です。日本文化の危機であり、食糧自給の危機でもあります。
そしてインボイス制度を法律通りに行ったら、事務負担は数千億、兆単位の膨大なものになり、法律の目的とは反対に、日本の本質的な生産性を大きく低下することになり、さらに国力の低下、危機が深まる恐れが増すのではないでしょうか。
お気軽にお問い合せください
-
052-851-6311
受付時間:月~金 9:00~17:00