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税と、国家と、社会 ~世相、政治、経済~
今年の漢字は「税」に決まった。消費税のインボイス化の影響や、軍事費、少子化対策のための増税、最近の減税論議等、税に関する話題は現在も続いている。「税」が選ばれたのは2014年の消費税増税の時以来であり、国民の負担が大きくなると意識に上る。
税は、本来は社会の公的な需要、公共サービスに必要な支出に回すための財源、国家の収入になるものだ。したがって所謂狭い意味の税金だけでなく、医療や介護、年金等の社会保障の費用も含まれる。この税と社会保険料の合計(国民負担率)は年々増加し、50%近くになっている。これは江戸時代の年貢と同じ水準だと言われる。
今回の増税はまたステルス増税と言われるように、知らないうちに見えないところで、税制だけでなく、社会保険料の増加や医療費等の自己負担の増加、介護サービスの低下や年金の削減等様々なところで行われようとしている。
税や社会保険料が増え、個人、民間の可処分所得が減れば、民間の需要は減り、活動、経済力は低下していく。バブル崩壊の平成4年には36%だった国民負担率は、令和3年には48%にまで上がっており、この間日本の国力はどんどん低下してきた。
ところで個々人の集合体である社会は、個人個人ではできない公共のサービスをする組織として国家を造った。あくまでも主権は国民にあり、国家は国民にサービスする機関のはずであり、これが民主主義の原理である。民が主であると言う意味で。
しかしながら日本では国家のことを「お上」と呼んだり、「税」の漢字も穀物を表す「禾」と「脱」の原字「兌」からなり、身に付けた収穫から抜き取ると言う状況を表現した字であり、訓読みは(税)「みつぎ」になる。また税金を払うことは納税、納めると言う。つまり国民・民間は国家・政治より一段下位にあると言う意識が根強く、政治が的確に機能していればまだよいが、機能していないと国家権力だけが肥大し、権威主義的になる。
すなわち政治が役割を果たさないことに対する国民の不満を押さえつけ、管理し、支配を強めていくことによって権力を守ろうとする。政治家は選挙で国民が選ぶので、もちろん国民の責任でもある。ある意味国民のレベル以上の政治家は選ばれないので、国家と社会は相互に連動している。本来は社会の未来の方向を決め、その目標に向かってリーダーシップを発揮するのが政治の役割のはずだが、不透明な裏金政治で、私的な利害から行動しているようでは、良い考えは浮かばず、したがって実行もできない。
政治資金は透明性も無く、領収書等の証拠も必要ないのに、民間にはインボイス制度で過度の負担を強いるようでは、生産性、経済力の更なる低下を招くだけかもしれない。
最近、政界だけでなく、ダイハツの安全性に関する虚偽記述(34年前から)やビッグモーター、ジャニーズ、宝塚、日大等々、多くの分野で不祥事が発覚している。これらの多くは高度成長の後、バブル崩壊の頃から続いているようである。
世界的に気候危機、地球の沸騰化、世界大戦、貧困、難民、食糧危機、パンデミック等山ほど難題を抱えている。表面的、形式的、金銭だけ、部分的からではなく、本質的、総合的に問題を捉え、対処する最後のチャンスかもしれない。良い年をお迎えください。
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