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課題先進国と人間の能力 文明の転換(5)
昨年の出生数は72万人と過去最低を更新し、人口は1年間で85万人減少した。世界で最も少子化、人口減少が進んでいる。この原因としては、生活幸福度の低さ、貧困化による未婚化、晩婚化、出産に対する意識の変化、男女の賃金、育児、家事負担の格差等が考えられる。しかし人口の減少は、こうした個々の要因を超えた国力の低下、経済、文化、生活、文明の力の衰退を意味している。こうした傾向は先進国と言われている国々では共通しているが、日本は特にその中でもトップを行く課題先進国と言える。
日本は明治以来敗戦まで70年以上に渡って「富国強兵」を目標に走ってきた。それに挫折すると、戦後は経済を主体に数十年で世界№1にまで上り詰めたが、バブル崩壊、新自由主義の台頭以来、明確な目標を持つことも無く衰退を続けている。
また世界的にも、気候変動や戦争、経済格差・貧困、パンデミック、AI、食糧、遺伝子操作、病気、都市と村落の分離等の危機が身近なものになり、自然を支配し改造するという近代資本主義文明は、重大な課題を抱え、大きな変革の時代を迎えている。
人類はこれまで直立二足歩行により手を開発し、思考を言葉・文字にし、手を道具に拡張し、筋肉を機械により自動化する等、思考や筋肉を肉体を超えて、その外部に発達進化させてきた。そしてAIの発達は人間の頭脳を拡大する可能性を開花させたが、同時にAIによって支配される可能性を高めている。
機械までは人間が自然を支配しているように見えたが、これも自然環境の破壊によって人新世、気候変動等、この意識は錯覚だったと分かってきた。これがAIになると何が現実で、何がバーチャル、フェイクか更に分からなくなる。
しかし生成AIの時代になるとこの区分を明確にしなければ、映画マトリックスのように人間が支配されていても気付かない世界になってしまう。また既に、何も考えないで言われたとおりに行動したり、目先、短期的な利害のためだけに動いていては、支配されていても気付かない人間になっているのではないだろうか。
こうした問題を克服し解決するためには、人の直接の自然である身体、思考を超えた動きである自律神経等が正常に働く肉体の可能性、そして直観力を高めるのが不可欠である。
世界最古の文明を築いた縄文時代の身体機能は、小さな丸木舟で遠洋航海するほどの身体能力と天体、気象等の知識を持っていた。江戸が世界最大の都市だった江戸時代、飛脚は1日100キロを走り、農家の女性は300キロの米俵を担ぐほどの身体能力を持っていた。その身体能力の復活とともに、目に見えない空の世界からエネルギー、情報を取り入れる技能も必要になると思われる。こうした力を開発し、課題解決に使うことなしに世界は再生できないのではないだろうか。
しかし現実の動きはこの反対を行っているように思われる。2050年までに市町村の4割が消滅し、生産性の低い中小企業は淘汰されるような政策が行われている。過疎地の自然を活かし、生産性を単に経済的数値で見ることなく、作業生産性や、水や農業のように人間にとって基本的に必要な物の視点を取り入れることが重要ではないだろうか。
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