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人手不足と産業構造 働き方改革と経済の進化
人手不足による企業の倒産や廃業、事業縮小が増えています。これらは少子高齢化が原因だと言われていますが、それだけが原因でしょうか。また人手不足には数・量の問題と労働力の質の問題があります。この点に関しては、産業構造の変化の動向が大きな影響となりますので数十年間の動向を見ていきます。
まず第1次産業(農、林、漁業等)ですが、就業者人口は1950年に49%だったのが、1990年には7%、2020年には3%にまで急速に落ちています。そして第2次産業(製造、建設等)は、22%→34%→23%と変化し、第3次産業(商業、金融、医療、教育、飲食等のサービス業、情報通信業等)は30%→59%→74%へと大幅に伸びています。
主に食に関する1次産業が減り、それとともに食料自給率も1965年の73%から2022年の38%へと大幅に低下し世界の先進諸国と比べて極端に低くなっており、また農林漁業は他の業種よりも高齢化が進み、存亡の危機にあります。気候変動や戦争により食糧危機が懸念されている今日、国の安全保障の観点からも喫緊の課題と言えるでしょう。
3次産業は急速に伸びていますが、この20年程を見ると、製造業△270万人、建設業△170万人と減って、医療福祉480万人、運輸郵便27万人と増えており、医療介護の増加が目立ちますが、現状でもかなり不足しているようです。
食も医も直接生存に関わる重要な分野であり、この分野での改革は大きな課題です。農業の再生は、過疎集落の再生にもなり、良質の食は医療費の削減にもつながります。コロナ以降、テレワークや都会と田舎での2拠点生活も増え、新しい農法等も開発されているようですが、食に関しては自分で食べるものは自分で採取する、畑で収穫することが重要ではないでしょうか。
農作物がどのように作られるのか、肥料や農薬、農法の違いで成果としての農作物はどう変わるのか。大地や天候、他の生物の影響等、人と自然との関係を問い直す機会となり、気候変動、災害を乗り越え、豊かな人生を送る大きな助けになるかもしれません。
病気になる一番大きな原因は「食」にあることが世界的な共通認識になりつつあるようです。自分で食物を作り食に関する関心が高まれば、自然の中でより健康になるかもしれません。
産業構造は経済の変化につれて変わっていきます。150年前には人口の9割が農業の農業社会と言われたものが、工業社会に変わり、情報=生命社会へと変化してきました。基層としての狩猟採集は現在も残っており、次に農業社会になり、産業革命以降工業社会と言われてきました。ここまでは物の生産が主体でしたが、情報社会は単なる情報の生産と言うわけでなく、物や社会の組み立て方自体が変わって来るのではないでしょうか。
そしてそれは単なる無機質のデータの集積、数の多寡ではなく、生命体としての人類や他の生物、ガイアとしての地球、生命としての宇宙そのものの進化かもしれません。
人手不足はこうした変化を促すという意味では大きなチャンスであり、働き方改革やAIの活用、DX化も含めた人の能力、総合知が試されています。
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